「身体が大きいぶん、食事管理も難しそう…」そんな不安を解消するため、本記事では ①フード選び ②年齢別の給餌設計 ③肥満対策&サプリメント の3ステップで大型犬の栄養管理を解説します。
大型犬向けフードの選び方
愛犬に適した優良なフードを選ぶため以下の事項を考慮します。
関節サポート成分は必須
大型犬は股関節や膝に負担がかかりやすいため、グルコサミン・コンドロイチン・EPA/DHAを配合したフードを基準に選びましょう。これらは軟骨の摩耗を抑え、成長期からシニアまでの関節寿命を引き延ばす働きが期待されます。
低カロリー&高たんぱく
目安はたんぱく質25〜30%、脂質10〜15%、代謝エネルギー(ME)320〜380kcal/100gです。筋肉量を維持しつつ過剰エネルギーを抑えられる配合が理想です。体重管理用のフードを選ぶ場合も、たんぱく質が極端に低くないか確認しましょう。
粒サイズと消化性
口が大きい犬でも丸呑みしやすいので、直径12 mm以上の大型粒や穴あきキブルが喉詰まり予防に効果があります。消化吸収を助けるプレバイオティクス(イヌリン、フラクトオリゴ糖)入りなら下痢や便秘のリスクも下げられます。
年齢別の給餌量・回数と手作り食の可否
給餌の回数と量は犬の年齢によって変わっていきます。
年齢による給餌量と回数
子犬(~12カ月)の時期は1日3~4回の給餌回数になります。給餌量は目安なので子犬が食器をいつまでも舐めている場合はもう少し与えても問題ありません。
成犬(1歳~)になれば朝晩2回にします。年齢によって餌の種類を変えていきます。
年齢・月齢 | 回数 | 体重30 kg例/1日量* | カロリー換算の目安 |
子犬(〜12 か月) | 3〜4回 | 560 g | 体重 × 200 kcal/kg^0.75 |
成犬(1〜6 歳) | 2回 | 420 g | 体重 × 130 kcal/kg^0.75 |
シニア(7歳〜) | 2回 | 360 g | 体重 × 100 kcal/kg^0.75 |
給餌量はME350kcal/100gのフードを想定。実際はパッケージ表記と体型(BCS)に合わせて微調整します。
手作り食はハードルが高い
手作り食は、飼い主が素材を選んで無添加食材の給餌ができます。しかし、カルシウム・リン比や微量栄養素の計算をしながら、大型犬では1食600g以上の調理や保存をしなければなりません。その負担は大きくなります。
獣医師監修レシピアプリや総合栄養食基準(AAFCO/FEDIAF)を満たしたサプリメントで保管しないと、骨格形成や免疫に影響する恐れがあります。愛犬の成長を考えれば週1手作りのようなバランスが好ましいです。
肥満対策とサプリメント活用
肥満の管理と減量フードは数値を目安に管理します。
体脂肪を数値で管理する
ボディコンディションスコア(BCS)とは、動物の脂肪の蓄積具合を数値化して示したもので、動物の栄養状態を把握することができる基準です。犬の場合はBCSが4/5以上で肥満傾向となります。月1で肋骨周囲を測定して記録しておけば愛犬の状態がわかります。
愛犬にはおやつもあげたくなります。1日の総カロリーの10%以内のおやつを与えましょう。高カロリーのおやつはカットして与えましょう。
減量フード
減量しなければならない場合は脂質8〜10%、L-カルニチン配合フードへ切替え、毎週現在体重の1%減量を目標にします。
サプリメント
サプリメントは、グルコサミンなら体重×50mg、コンドロイチンなら体重×15mgが目安です。30kgの成犬なら1日の摂取量はグルコサミン1,500mg+コンドロイチン450mgです。
フードに配合されている場合もありますので重複摂取に注意します。推奨量の1.5倍までを上限と考えましょう。過剰摂取は下痢や食欲不振のリスクもあります。
まとめ:質と量と観察で生涯の健康を
適度な運動が大前提ですが、以下を実践すれば大型犬の食事管理は問題ありません。ただし、犬の成長には個体差がありますので、数値にこだわり過ぎずに愛犬の様子を常に観察しながら食事コントロールをしましょう。
- 大型犬に適したカロリーの関節サポートも期待できるフードを選定し愛犬の健康基盤を作ります。
- 年齢に合った給餌回数と給餌量を守り、BCSで体型を定期的に観察します。
- 減量が必要な場合は、低糖質フードとサプリメントで関節と代謝を同時にケアします。
この3ステップを実践すれば、大型犬の食事管理は格段にラクになります。次は【大型犬のためのしつけ・トレーニングガイド】で、社会に順応させるための訓練やしつけをマスターしましょう。
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