子犬の甘噛み

子犬は何でも咬みます。人間の子供が何でも触って口に入れたりするのと同じです。子犬には手がありませんので、噛むことでも情報を得て様々なことを学習します。

歯が出てくる頃には咬めるようなオモチャが必要です。兄弟がいればプロレスごっこのような遊びもできますが、一匹では遊ぶ相手がいませんのでオモチャが遊び相手になります。咬むとピーピー鳴るようなおもちゃは獲物の悲鳴をイメージさせ狩猟本能を刺激するように作られているようです。ただし室内でゴロゴロと暮らす犬に育てるには、ある時期からは本能を刺激するような遊びは控え目にしたほうが良いのですが、子犬の時期はあまり気にすることはないでしょう。

人に対する甘噛みは理由が違う

歯が出てくる頃に歯茎がかゆくて甘噛みすると思っている人がいますが、それだけではありません。歯茎がかゆくて物を咬むこともあるでしょうが、人間に対しての甘噛みは少し意味が違います。

犬は成長するにつれて徐々に支配性の本能が芽生えてきます。兄弟と遊んでいるときも体当たりをしてみたり甘噛みをしてみたりしながら、本能的に自分の地位を上げようとします。

犬たちがじゃれて遊んでいるときでも支配性本能の強い犬は甘噛みしたり、体当たりしてみたりして相手が怯むような態度をみせると、自分が上位だと主張します。最終的にはマウンティングをしようとします。

人間に例えるのは難しいですが、人間が握手するときに手に力をいれて相手を威嚇するようなもんでしょうか。

だから甘噛みとは犬同士では本能的なものなのですが、人間社会の都合では悪い行為なのです。相手が人間の場合でも、甘噛みして人間が怯んだら、もっと強い力を見せつけて人間を従えようとします。子犬は自分が4本足で人間が2足歩行していることなど理解していませんので、犬も人間も区別なく自分が上位になろうとします。

甘噛みに限らず、小さな雄犬が女性の足にしがみ付いて腰をふる様子をエッチな行為と間違えている人がいますが、これは立派なマウンティングであり人間の女性よりも自分が上位であるとアピールしている心理なのです。

だから、物を咬むことと人間に対する甘噛みは全く別のもと考えなければなりません。

相手が人間であれ犬であれ、甘噛みは犬にとっては同じ心理であり区別できません。おもちゃは噛んでよいが、人や犬への甘噛みはダメと教えなければなりません。

人間に対する甘噛みは、言葉で「イケナイ」とか言って叱っても効果がありません。重要なことは人間に対して従う心理を育てることです。甘噛みをさせないことよりも、従う心理を育てると人間に対して挑戦的な行為はなくなります。

甘噛みをさせないためには、犬が人間に対して挑戦しようと思う気持ちを持たせないことです。古典的な方法では犬の思い通りのことをさせないで人間に従わせるような方法があります。犬が右へ行こうとすると人間は逆の方向へ歩くようなことを繰り返し、時には強引に従わせるような方法です。しかしこの方法は「笑わない犬」を育ててしまいます。ストレスで病気になったような犬になります。

犬に思い通りのことをさせないだけでなく、同時に犬のストレスを人間が吸収してあげなければなりません。抽象的な説明ですが、この繰り返しが人間に従う犬の心を育てます。

小さいころから従順な心理を育てると5か月位でも人に対する甘噛みは無くなるようです。実際にはそこまでできない人のほうが多いでしょうから、この時期に人への甘噛みをやめないような子犬なら、この先しっかりとしつけをしなければならない犬だと思いましょう。

なにごとも嫌がらない犬

理想的な犬は人間に触られても嫌がらない犬であり、人に触られても我慢できる犬ではありません。世間の多くのしつけ法は犬に我慢させることを教えるものばかりです。この違いに早く気が付きましょう。

我慢は長く続きません。おやつを貰えるから人の命令に我慢して従うなら、満腹のときは従う理由がなくなります。我慢ではなく飼い主が好きで、飼い主に従うことが嬉しいなら一生従ってくれます。そんな飼い主に甘噛みなどする理由がありません。

わが家の犬も支配性の強い犬で苦労しましたが、遅ればせながら森田式のしつけ法を知り、なんとか森田式の理論を理解し、ある程度良好な主従関係が築けました。甘噛みを止めてからは、教えてもいないのに、人への飛びつきや食卓への飛び上がりがありません。リビングのソファーにも乗ったことがありませんし、私のベッドにも乗りません。これは主人の座る場所、寝る場所と勝手に理解しているのではないかと思います。

3.子犬のしつけ、室内で一緒に暮らすために

5.子犬の時期に注意する病気と怪我