平均寿命が短いと言われる大型犬のライフスパンを伸ばす3つの対策
なぜ大型犬の平均寿命は短いのか
犬の平均寿命は、小型犬は14~16歳、中型犬なら12~14歳ですが、大型犬は10~13歳と短いのが現実です。国内のペット保険会社の調査でも、大型犬の死亡年齢中央値は11.3歳という報告もあります。
その要因として、大型犬は小型の犬よりも成長速度が速く細胞の老化が早いことや、関節や心臓、胃への負担が大きいためと言われてます。
大型犬の寿命を左右する3大リスクは以下の3つです。
- 関節疾患によるQOL低下
- 急性胃拡張‐胃捻転症候群(GDV)による突然死
- 肥満・心臓病など慢性疾患進行の早さ
代表的な遺伝性・構造的疾患と予防策
大型犬の代表的な疾患です。
股関節形成不全(CHD)
股関節形成不全(CHD)とは、股関節の臼蓋の形成が不十分で、大腿骨頭を十分に覆うことができない状態のことです。臼蓋の深さが浅く、大腿骨頭との積極面が狭いため、股関節が不安定になりやすいのが特徴です。臼蓋とは股関節の骨盤側のくぼみのことで、大腿骨頭を納める部分です。
- 発症犬種:ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバーなど
- 主症状:股関節の痛み、動きの制限、歩行の異常など
- 予防法:肥満を避け、栄養バランスの摂れた食事と適度な運動を心掛ける。遺伝的にリスクの高い犬種は、成長期に定期的にレントゲン検査を受ける。
胃捻転(GDV)
胃捻転(GVD)とは、犬の胃が急激に膨張し、さらに回転(捻転)してしまう病気のことです。大型犬種や深胸犬種で多く見られます。血液循環が阻害され、ショック状態や臓器の壊死を引き起こす可能性があります。
- 発症犬種:グレート・デーン、ハスキー、ボルゾイなど胸が深い犬種
- 症状:お腹が膨らみ、吐こうとしても吐けない。ぐったりする。呼吸困難になる。
- 予防法:餌や水は小分けに与え食後は安静にする。早食い防止ボウルや大粒フードを利用する。ハイリスクな犬種は去勢・避妊時に予防的胃固定術を獣医師と検討。
定期健診とワクチン接種
犬のライフステージ(年齢)別の健康診断やワクチン接種は以下のようになります。
子犬の時期(~1歳)
- 健康診断:月齢6カ月時と12カ月時
- ワクチン接種:混合ワクチン2~3回、狂犬病、フィラリア予防薬
- ケアポイント:成長曲線を記録し、体重と関節をチェック
成犬の時期(1~6歳)
- 健康診断:年1回
- ワクチン接種:混合ワクチン年1回、フィラリア4~11月
- ケアポイント:歯石除去、運動量の固定
老犬の時期(7歳~)
- 健康診断:年2回血液検査、画像検査
- ワクチン接種:混合ワクチン年1回、フィラリア4~11月
- ケアポイント:心臓や肝臓検査、関節サプリ強化
老犬の時期には、肥満や慢性病に注意が必要です。
まとめ:予防・早期発見・体重管理が寿命を伸ばす
以下を徹底すれば、大型犬でも13歳を超える健康寿命は狙えます。
- 遺伝的リスクを理解し、子犬期から体重と運動を最適化する。
- 胃捻転・股関節形成不全など致命的疾患を予防し早期対応する。
- 年齢に応じた定期健診とワクチン接種で健康寿命を底上げする。
次は【大型犬の運動・散歩・遊びガイド】で、関節を守りながら筋肉を維持するエクササイズ法をチェックしましょう。
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