室内で一緒に暮らすための子犬のしつけの考え方

子犬の時期

子犬の時期の大切なことは人間社会に順応することです。他の犬と仲良く遊べたり人間に触られても嫌がらない犬になることです。

従来のしつけの考え方

人間が犬と暮らし始めた頃には、人間の仕事を犬が手伝っていました。現在でも警察の捜査や災害救助などをはじめ様々な分野で人間社会で働いている犬はたくさんいます。

それらの犬に仕事を教える方法から犬の訓練方法が発達し確立されてきました。家庭犬のしつけもこれらの訓練方法が基礎となっています。これらの方法は犬の本能を利用して行われます。特に犬の「狩猟本能」を利用して教えるということが多いのです。

犬の問題行動の原因

犬の問題行動と言われているものの原因は本能的な行動であることが多いのです。自動車やオートバイに向かって吠えたり、飛びつこうとするのも狩猟本能による行動です。犬だけの社会であれば優秀な犬かもしれませんが人間社会では迷惑な犬になります。逆に言えば「本能の強い犬」や「野性的な犬」は迷惑な犬になるということです。

でも警察犬は迷惑な犬ではありません。警察犬は訓練されて立派に仕事をしています。しかし実際には警察犬には迷惑な犬が多いです。正確に言えば「家庭犬としては迷惑な犬」が多いのです。警察犬の競技会の会場へ行くとわかりますが、競技に参加していない待機中の犬はワンワン吠えて本能むき出しです。

警察犬は穏やかにしていることは教えられていません。本能を最大限に利用して障害物を超えたり、臭いを追跡したりしています。だから警察犬の訓練を受けた犬をそのまま家庭へ連れてきたら迷惑な犬、手に負えない犬になります。

家庭犬として育てるには本能的な行動や心理を抑制するような「しつけ」をする必要があります。

しつけの考え方

もしあなたが犬と何かしらの競技に参加したいと考えているならば活発な犬を育てる必要があります。家庭で穏やかに暮らしたい犬の育て方とは別の育て方になります。

行動を制御することがしつけなのか

これまでのしつけの方法は「スワレ」とか「マテ」のように行動を制御することばかりでした。同じ命令に何度も繰り返しながら条件反応として決められた行動ができれば利口な犬と考えてきました。

しかし条件反応による行動の制御は役に立たないことも多いものです。おやつを前にして「マテ」と命令する人は多いと思います。この時犬はおやつが欲しくて待ちます。おやつを食べる手段として待つのです。おやつが置かれていなければ、この犬は待たずにどこかへ行ってしまうでしょう。

大切なことは、飼い主が「待ってなさい」と言えば犬はその場で動かずに待っていることです。言葉は「マテ」でも「待ってなさい」でもどちらでも良いのです。おやつのために待つのではなく、飼い主の言うことを理解して待つ犬にするのです。とくに子犬の時期は人間の言うことに「従う心理」を育てる時期です。

「人に従う心理」を育てることと「犬の本能的な心理」を育てることは正反対のものになります。当然しつけの考え方も違ったものになります。

本能的な心理を育てない

さきほどの「マテ」の話では、犬は「マテ」を「おやつを得る手段」として理解しています。つまり狩猟本能の心理で待っているのです。結果として狩猟本能を育てている行動になるわけです。

おやつを与えながらしつけをする方法は知的なしつけの方法のように言われています。しかしこれも狩猟本能を育ててしまいます。おやつが欲しいので「狩猟本能」で従っているだけなので、おやつがなければ命令に従う理由がなくなります。さらに気質の強い犬であれば狩猟本能が育ちすぎて問題行動ばかりの犬になることもあります。

子犬の時期には問題犬になるかどうかは判断できません。どんなに飼いやすい犬種でも問題犬になるような性格の犬は生まれます。そんな犬を迎えてしまっても手放すわけにはいきません。子犬の時期から穏やかに暮らせるような性格に育ててしまうしか方法はありません。またどんな気質の犬でも正しい対応をすれば本能的な心理を抑え、人に従う心理を育てることができるのです。

まとめ

子犬の時期は「スワレ」や「フセ」など教えても良いのですが、おやつで覚えさせてはいけません。おやつはおやつの時間に無条件で与えましょう。大切なことはスキンシップです。たくさん触ってあげましょう。触られることが嬉しいと思う子犬にしましょう。

悪い心理を育てない方法の詳細はこのスペースでは書ききれません。今現在、わかりやすく解説しているものはドッグトレーナー森田誠さんのDVDだけです。是非このDVDをご覧ください。

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